SEX AND THE CITYが日本でウケた本当の理由

先日テレビを観ていたら、SMAP稲垣吾郎SEX AND THE CITYをひどくこき下ろしていた。それを聞いた香取慎吾テレビ朝日のアナウンサーは「ストーリーもおもしろいし、とてもお洒落な映画なのに!」とSATCを絶賛していたけれど、わたしはテレビの前でひとりゴローちゃんの意見に深くうなずいていた。わたしは最初の映画版SATCを観たことしかないけれど、その鑑賞で抱いた感想は、ゴローちゃんと同じく「何がおもしろいかわからない」だった。
稲垣吾郎の意見に大きくうなずいた数日後、知り合いに誘われた飲み会にてかなりヘビーなSATCファンと遭遇した。これはチャンスと彼女にSATCが好きな理由をたずねたところ「仕事とか恋愛とか友情とか、自分が悩んでる内容が凝縮されてるから」とのことだった。メインのキャラクターが4人いるから、それぞれの性格やストーリーに合わせて自分を投影させやすいのもハマった理由だと言う。ちなみに、この映画の代名詞ともなっている「オシャレ感」に関しては、あのニューヨークの最先端ファッションを日本のオフィスで取り入れるのはなかなか難しいらしく、オシャレだとは思うけど参考にはできないな、と言っていたが。
「ファンの人を目の前にして悪いけど、どこが面白いかわからないんだよね」と言うわたしに、このドラマがいかに素晴らしいかをとうとうと語ってくれる彼女と、「DVDをそろえるほどファンではないけど、わたしも好きですよーあのドラマ」と言う数人の話を聞きながら、なぜこの海外ドラマが日本でこんなに受け入れられているのかを考えた。



このドラマのポイントは「主役級のキャストが4人」というところではないだろうか。ファンの彼女は「4人いるから、それぞれの性格やストーリーに合わせて自分を投影させやすい」と言っていたけれど、それ以上に「女4人の友情を描く」ところにこのドラマのうまさがあると思ったのだ。

多くの人がそうだと思うけれど、社会に出てしばらくすると、友情とはいかにもろいものかということに気づかされる。「ずっと友だちでいようね」なんて言葉に、なんの意味もないことを知る。学校を卒業すれば当時の友人とは連絡すら取らなくなり、職場が変われば交友関係が変わり、結婚し、子どもが産まれれば、昔の友人とはますます疎遠になっていく。
それが「生きていく」ということなら、そうかもしれないとわたしは思う。世の中とはそういうものだろうとも思っている。けれど、心の病が増え続けている世の中を見ていると、「誰かに自分のことをわかってほしい」という欲望は、わたしが思っている以上に多いのかも、と思う。


何があっても変わらない友情。何でも話せ、相談しあえる親友の存在。夢か幻だと思っていたそれが、SATCでは描かれている。
年月が経っても変わらない友情。ともに笑い、ともに泣き合い、どんな自分も受け入れて応援してくれる仲間が、このドラマには存在している。



ファンの彼女は言っていた。「仕事とか恋愛とか友情とか、自分が悩んでる内容が凝縮されている」。
そう。これは、仕事や恋愛といったエピソードをなぞった女性4人の友情ドラマなのだ。世の女性は、それぞれのストーリーに一喜一憂しながら、彼女たちの友情を共有しているのだ。



わたしの「この映画の何がおもしろいかわからない」という感想は、「だってオンナ4人でつるむのって楽しいか??わたしだったらぜったい無理!!」と、続く。
…わたしがこのドラマを楽しめる日が来ることはなさそうだなあ。